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私達はなぜフェスを主催(オーガナイズ)するのか?

 情報・物理環境的に移動が容易になった現代社会を生きる私たちは、様々な時間や場所・属性を行き交う柔軟性を持ち合わせており、この時代を象徴する文化が“フェス”です。従来の祭りが特定の地域やコミュニティへの愛着を醸成するものならば、フェスは複数の世界にまたがって生きる私達を祝う現代の祭りだといえます。

 フェスの急激な増加は、私達と場所との関係性の行く末・分岐点を暗示しています。

 一つはフェスの「消費化・テーマパーク化(陳腐化)」による場所からの離脱です。毎週のように開催されるフェスに参加し、渡り歩くこと、あるいは様々なイベントや日常のささやかな行為にまで「〇〇フェス」と冠すること。それらは新たな流動的生き方の可能性を示しているのかもしれません。しかし、それは固有の場所と人間との関係性の弱体化をも意味します。いくらフェスに参加しても満たされない…私たちはフェスに「参加し続ける」ことでしかそれを解消できなくなるかもしれません。

 一方で近年は「参加者」が「主催者(organizer)」となり、全国各地でローカルフェスを開催するケースが増加しています。ここでいう「ローカルフェス」とは「継続性を念頭に置き、同じ場所で周期的に開催するフェス」を指します。これは再度私たちが場所へと埋め込まれ、場所(共同体)と共に生きる契機となる可能性を示しています。ただし、単純な場所回帰ではなく、フェスが持つ流動性を兼ね備えた開放的な場所と人間の関係性です。

 本プロジェクトはこのローカルフェス、具体的にはその「主催者(organizer)」に着目します。彼らはどのような意図や目的をもって開催地域と関係を持ち、フェスティバルをオーガナイズ(組織)しているのでしょうか。その過程・軌跡を解き明かすことは、現代を生きる私たちがフェスを通してどのような場所や社会を夢見ているのかを考えることにつながります。「フェス観測会2016」では全国のローカルフェス主催者同士の対話から、実際に創造されつつある新たなローカリティの姿をかたちにして、社会に発信・共有したいと思います。

                                フェス観測所 山崎翔

フェス観測会2016_チラシ-03